今や身近なキャットフードの歴史とは?

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ペットショップに、ドラッグストア。最近ではコンビニでも置いてあるキャットフード。今や猫を飼っている多くの人が猫の食事をキャットフードに頼っています。キャットフードは栄養バランスが優れており、簡単に猫にとって必要な食事を提供できる便利な商品。しかしその歴史は意外と浅いものでした。

ペットフードの歴史の始まりはドックフード

犬用ビスケットの誕生

ペットフードの始まりは、1860年。ロンドン在中のアメリカ人、ジェームズ・スプラットが製造した犬用ビスケットがペットフード(ドライペットフード)の起源です。スプラットはイギリスの船が廃棄したビスケットに野良犬が群がるのにヒントを得て、犬用のフードを作ることに成功したといわれています。
スプラットはこの5年後にペットフード製造会社を立ち上げ、さらに9年後にはアメリカに拠点を移してドックフードメーカーを立ち上げました。

どうしてキャットフードよりドックフードの方が先に誕生したの?

犬用ビスケットが発売された当時、人間とともに生活していた動物といえば犬でした。人に従順で家畜化しやすかった犬は人と過ごす時間も長く、その分ドックフードの需要が高かったということができます。
一方、自由に行動する猫は人間が定期的に食事を与えるような存在ではありませんでした。現在のように猫が家庭の中で愛玩動物として飼われている時代とは異なっていたため、ドックフードの方が先に開発されたのだと考えられます。

ペットフードの広がり

1922年ごろにはアメリカで缶詰タイプのドックフードが広がりを見せます。第一次世界大戦中にフランスへの食糧援助物資として製造された馬肉缶詰が余ってしまい、それを犬に与えたのが缶詰ドックフードブームの始まりとされています。こうして一般家庭にドックフードが浸透していきます。
第二次世界大戦がはじまると缶詰を作るための鉄が不足するようになり、ドライフードの開発が進むようになりました。シリアル製造技術の発展とともに、安価で長持ちするドライフードはどんどん広がっていきます。この第一次世界大戦、第二次世界大戦の時代には現在も活躍しているような有名ペットフードメーカーが次々と誕生していきました。

キャットフードの誕生

ドックフード=キャットフード?!

ドックフードに対し、キャットフードの誕生はいつだったのでしょうか。猫が身近なペットとして定着していなかった時代ではキャットフードの需要は低いものでした。最初のキャットフードはドックフードの誕生より約100年近くも遅れた1960年代。内容といえばドックフードを改良したものをキャットフードとして販売していた程度。ドックフードとキャットフードが共用だったこともありました。

猫の体のつくりは犬のものとは別物

雑食の犬と肉食の猫では体のつくりが全く違います。犬にはたやすく消化できても、猫の消化器官に対しては多大な負担を与えるような食品もたくさんあります。
また猫は体の中で作ることができない栄養成分が多く、これを補うためには日々の食事の栄養バランスを考える必要があるのです。
しかしこれらの研究が進んだのは1980年ごろ、たった40年ほど前だというから驚きです。猫の体の仕組みが解明され、猫が身近なペットとして定着していくにしたがって、キャットフードの市場は爆発的に大きくなり、猫の健康に配慮した様々な商品が開発されていくことになりました。

日本でのペットフード

日本ではキャットフードの方が先に誕生していた!

海外では1860年にドックフードの生産が始まっていましたが、当時日本は幕末・明治の大混乱期。動物の食べ物に気を配っている余裕なんてありません。日本でペットフードが作られたのは、1980年より約100年後。日本はペットフードの後進国なのです。
しかし、この100年後という数字は海外でドックフードとキャットフードが区別されだした時期と重なっています。実は、日本で初めて作られたペットフードはドックフードではなくキャットフードなのです。1958年、日本でまぐろを原材料とした海外輸出向けのキャットフードを作ったのが日本のペットフードの起源となっています。

キャットフードは高級品

1960年代から日本でもドックフードやキャットフードの生産が本格的に始まります。1969年にはまぐろの缶詰を生産する過程で出てくる余りの部分を有効利用するため、獣医さんやブリーダー向けの猫用缶詰が作られます。1972年にはドライキャットフードも販売されます。
しかし、これらのフードは超高級品で一般家庭ではまだまだ猫まんまを食べさせていたようです。

一般家庭にもキャットフードが

1980年代に入るとペットブームが到来。その中でキャットフード市場も拡大し、たくさんのキャットフードが発売されるようになりました。猫と人の距離が近くなり、猫を唯のペットではなく家族として認識する人が増えたのです。その中で猫の健康を維持しようという意識が高まり、手軽に必要な栄養素を補えるキャットフードの需要は高まっていきました。一般家庭でもキャットフードを食べさせることが常識になり、手ごろな価格のキャットフードが増えていきました。

進むキャットフードへの安全意識

激安キャットフードの広がり

しかしキャットフードの需要が高まる一方で、粗悪な原材料で作られた激安キャットフードも広まっていきました。キャットフードは人の食品に比べて規制がほとんどなかったのです。そのため、有害な添加物がキャットフードに大量に使われていたり、得体のしれない肉がキャットフードに混ざっていたりすることもありました。購入者がキャットフードの内容についての情報を得ることは大変難しかったのです。

ペットフード安全法の施行

2007年アメリカで有害物質メラミンが混入したペットフードが出回り、たくさんの犬や猫が死亡しました。このペットフードは日本でも輸入されていたことが分かります。この事件をきっかけに、日本では安全なペットフードを流通させるための法律「ペットフード安全法」が施行されました。ペットフード安全法では有害な物質を含んだペットフードの製造を禁止したり、製造業者や輸入業者にペットフード販売の記録をつけることを義務付けています。

安全安心なキャットフードを購入しよう

現在はペットフード安全法が施行され、ペットフード公正取引協議会などの団体がキャットフードの安心安全を図るための取り組みを行っています。しかしペットフード安全法の規制はまだまだ緩く、危険なキャットフードが市場から消えたわけではありません。飼い主が安心安全なキャットフードを選択することが大切なのです。

まとめ 発展してきたキャットフード、賢く選んでよい食生活を。

最初に発売されたペットフードはドックフードでした。キャットフードはドックフードのおまけ扱いだったところから、次第に発展し今はプレミアムキャットフードなどの高価な品も人気です。一方で日本ではペットフード安全法が施行された今なお粗悪なキャットフードも出回っています。飼い主はキャットフードを賢く選んで、愛猫の健康維持を目指しましょう。