エネルギー効率の良い栄養素!脂肪は猫の体を動かす

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肉食の猫にとってエネルギー源となる主要な栄養素といえばたんぱく質。そして、タンパク質に次ぐエネルギー源が脂肪です。実は脂肪のエネルギー効率はたんぱく質をも凌ぐことをご存知でしょうか。猫にとっては必須の栄養素、脂肪。どのような物質なのか見ていきましょう。

脂肪とは

脂質と脂肪

脂質とは水に溶けず有機溶媒(エタノール、クロロフォルムなど)に溶ける生体物質の総称です。炭素、酸素、水素で構成されています。脂質という言い方は栄養学的なもので、食品に含まれる脂質は脂肪と呼ばれます。ここでは食品の話をするので脂質=脂肪と考えてください。

脂肪が含まれる食品

脂肪を含んでいる食品は肉・卵・バターなど動物性のものと、大豆油・小麦胚芽油など植物性のものがあります。前者からとれる脂肪を「動物性油脂」、後者からとれる脂肪を「植物性油脂」と呼んでいます。動物性油脂は常温で固形、植物性油脂は常温で液体の形を取ります。

脂肪の種類

脂肪は脂肪酸とグリセロールによって構成されています。さらに脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分類されます。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

飽和脂肪酸はすべての炭素が水素で飽和されていて、原子同士の2重結合がない脂肪酸です。一方不飽和脂肪酸は2重結合をもつ脂肪酸です。不飽和脂肪酸の中でも2重結合を2つ以上持つものを多価不飽和脂肪酸と呼びます。猫はこの多価脂肪酸を体内で合成する能力に欠けています。そこで多価脂肪酸を食品から体内に取り込む必要があるのです。

猫の必須脂肪酸

多価脂肪酸はオメガ6系脂肪酸とオメガ3系脂肪酸に分けられます。どちらも猫にとっては食事で取り入れなければならない必須脂肪酸となります。

オメガ6系脂肪酸
  • a-リノレン酸 シソ油、エゴマ油、亜麻仁油に含まれ、EPA・DHAに変換されます。
  • EPA・DHA 魚油に含まれます。
オメガ3系脂肪酸
  • リノール酸 ひまわり油、コーン油、ベニバナ油に含まれ、γ-リノレン酸に変換されます。
  • アラキドン酸 魚介類、レバー、母乳、卵黄に含まれます。犬や人はリノール酸からアラキドン酸を作り出すことができますが、猫にはできません。そのため、リノール酸だけでなくアラキドン酸も猫の必須脂肪酸になります。アラキドン酸は動物性油脂にしか含まれません。

脂肪の役割

エネルギー源として働く

脂肪が作り出すエネルギーは1gあたり9kcal。他のエネルギー源である炭水化物やたんぱく質に比べ約2.5倍といえる数字です。脂肪は効率の良いエネルギー源として猫に欠かせない栄養素なのです。またエネルギーが余った時は脂肪として蓄え、空腹時に分解することで足りない栄養を補うことができます。

ホルモンのもとになる

脂肪は性ホルモンや胆汁の原材料になります。

脂溶性ビタミンの吸収を助ける

ビタミンの中には水に溶ける水溶性ビタミンのほか、油脂に溶ける脂溶性ビタミンがあります。ビタミンA、D、K、Eは脂溶性ビタミンに当たります。これらビタミンは脂肪を含む食品と一緒に摂取することで効率よく吸収することができます。

皮膚や被毛の保護

皮膚や被毛は細菌の感染から体を守ったり、衝撃を和らげケガを防ぐなど重要な役割を果たしています。皮膚や被毛を健康に保つためには、皮脂腺から皮脂がちゃんと分泌されている必要があります。脂肪は皮脂の原材料になります。長毛種の猫を飼っているなら被毛を美しく保つためにも、脂肪をちゃんと摂取できるキャットフードを選びたいところです。

炎症を抑える作用がある

脂肪は炎症を抑える効果もあります。関節炎、皮膚炎などを患っている猫は積極的に脂肪を与えるとよいでしょう。

脂肪が不足すると

脂肪が不足するとエネルギーが足りない状態になり、栄養失調を起こす可能性があります。特に成長期の猫はデンプンをうまく消化することができません。そのためエネルギーをたくさん作りだせる脂肪の多い食事が適しているといわれています。
エネルギーが足りなければ発育不全を起こし、後々の健康に重大な影響を及ぼします。子猫のうちは特に脂肪不足にならないよう、注意してあげなくてはなりません。

脂肪の過剰摂取には注意

脂肪は猫にとって必要な成分ではありますが、過剰摂取すると恐ろしい弊害があります。

肥満

脂肪は高いエネルギーを提供してくれますが、使い切れない分は体内に蓄積されます。体内にたまった脂肪は、人間と同じで肥満の原因となります。
肥満は様々な病気の原因となります。例えば肥満になった猫の重い体重は関節に負担をかけるため、関節炎に罹りやすくなります。他にも糖の代謝異常からおこる糖尿病、下部尿路疾患は肥満と関連するといわれています。心臓や肺への負担も増加します。運動不足の猫、高齢であまりエネルギーを必要としない猫、去勢・避妊手術済みの猫などは太りやすい傾向にあり、脂肪を摂りすぎないよう注意しなくてはなりません。

高脂血症

血液の中にコレステロールや中性脂肪が高濃度で含まれている状態が高脂血症です。遺伝のせいで起こることもありますが、脂肪の過剰摂取、肥満や糖尿病が原因の場合もあります。高脂血症は食欲不振、下痢、嘔吐を引き起こしますが、さらに怖いのは長引くことで動脈硬化・心筋梗塞・膵炎といった危険な病気のリスクが高まっていくことです。

脂肪肝

脂肪を過剰摂取し体脂肪がたくさんたまってくると、脂肪の消費と供給のバランスが崩れ
脂質の代謝異常がおこります。これが脂肪肝とよばれる肝機能障害です。症状が進むと食欲がなくなり、黄疸が見られるようになります。特に肥満気味の猫の場合、数日食事を摂らないことで一気に症状が進み、死亡に至る危険性もある怖ろしい病気です。

黄色脂肪症(イエローファット)

不飽和脂肪酸は猫にとって食事から取り入れる必要がある重要な成分。アジ、カツオ、サバなどの青魚はDHA・EPAを豊富に含んでおり、不飽和脂肪酸を摂取するのに適しています。
しかし、不飽和脂肪酸には弱点があります。それは酸化しやすいということ。酸化した不飽和脂肪酸は過酸化物質へと変化し、脂肪を破壊する危険物質になってしまいます。脂肪組織が炎症を起こすと、下腹部にしこりができ、発熱や食欲不振を招きます。この病気は黄色脂肪症(イエローファット)と呼ばれています。抗酸化物質として機能するビタミンEをしっかり摂り、不飽和脂肪酸の過剰な摂取を控えることで防ぐことができます。

まとめ 適量の脂肪は猫にとって大切な栄養素

脂肪の過剰摂取は猫の健康に様々な害を及ぼします。しかし、脂肪が猫にとって必要不可欠な栄養素であることに変わりはありません。猫は人や犬に比べ、食事からとらなければならない必須脂肪酸の種類が多いのです。過剰摂取を恐れるあまり脂肪量を極端に制限してはいけません。
総合栄養食タイプのキャットフードを使えば猫に必要な脂肪量を適切に与えることができます。肥満が気になる場合は、運動量を増やしてあげてください。また低カロリーのキャットフードを利用してみても良いでしょう。